灰汁って、なんなの?──「取る・取らない」は料理人の哲学?

こんにちは。Sol@です。
角煮をコトコト(コトトコ……)煮ていた時のこと。
ふと気づきました。
「この、浮いてくる泡……なに?」
「灰汁(あく)って言うけど、取らなきゃダメなの?」
「焼き料理だと灰汁なんてとらないじゃん」
料理本では当たり前のように「アクを取る」と書いてあるけれど、
そもそもアレって何者?
取らないとどうなるの?どんな意味があるの?
今回はそんな問いを、お肉と野菜の灰汁を比較しながら、コトトコしてみたいと思います。
1. そもそも「灰汁」ってなに?
「灰汁」とは、煮物などを作っているときに表面に浮かぶ泡や濁りのこと。
でもその正体は、実はひとつじゃありません。
✅ お肉の場合:
- 加熱によってタンパク質が固まったもの
- 血液中のヘモグロビンなどの色素成分
- 脂肪や不飽和脂肪酸のかけら
→ 臭みや濁りの原因になることがある
✅ 野菜の場合:
- ポリフェノールやシュウ酸などの植物由来成分
- 切ったり加熱したときに細胞からにじみ出る
→ えぐみや渋みを感じることがある
2. 取ったほうがいいの?取らなくていいの?
結論からいうと、取るかどうかは“料理の目的次第”なんです。
🍖 肉の灰汁 → 取るのが基本
- スープや煮物に「臭み」が出る
- 見た目が濁る
- 味にクセが残りやすい
→ 特に下茹でや煮込みの初期段階で、サッと取ると仕上がりが格段に良くなる!
🥬 野菜の灰汁 → 好みでOK
- えぐみを消すなら、下ゆでして水にさらす
- 栄養(ビタミン・ミネラル)も一部流れ出る
- でも少量なら風味として活かすこともできる
→ 「苦み=旨み」というタイプの料理では、あえて残すこともある!
じゃあカレーとか肉じゃがの時はどうしよう……😢
3. そもそも「灰汁」という言葉の意味は?
「灰汁(あく)」はもともと、“にごった液体”のこと。
昔は木灰を水にさらして作ったアルカリ性の液を「灰汁」と呼び、それが料理の言葉にも転用されたんです。
つまり、「にごり」や「クセのある液体」をまとめて“灰汁”と呼ぶようになった。
4. 灰汁=悪ではない?
ここで一つ考えたいことがあります。
「灰汁=取るべき“悪”」というイメージは本当に正しいのでしょうか?
実は、料理によってはこの“灰汁”の中に
- うま味の元(アミノ酸、脂肪酸)
- 香りやコクを出す成分
が含まれていることもあるんです。
たとえばフレンチでは「フュメ(出汁)」を取るときに灰汁を丁寧にすくいますが、
和食では灰汁を残して深みを出す場合もあります。
つまり、“何を活かして、何を捨てるか”は料理の哲学。
そもそも「おいしい料理」って何だろうね??
5. まとめ:灰汁は悪か、味か。
- 肉の灰汁は、臭みや濁りのもと → 取った方が仕上がりが良い
- 野菜の灰汁は、えぐみのもとでもあり、風味の一部でもある
- 「灰汁=悪」とは限らず、活かし方次第で味にもなる
- 灰汁を取るか取らないかは、料理をどう仕上げたいかという選択の問い
煮込み料理で浮いてくる、あの泡。
それは決して“邪魔者”ではなく、
料理と向き合う中で生まれる「問いそのもの」なのかもしれません。
次に灰汁をすくうとき、
その泡の中に“料理の奥深さ”を感じてみてください。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!