文化

氷の上にパイプはない?──アイススケートに“ハーフパイプ”がない理由

sol@

こんにちは。Sol@です。

スノーボードのハーフパイプ、スケボーのランプ。
壁を使って空中を舞い、くるくる回るあの技。
見ていてもワクワクしますよね。

でも、ふと思ったんです。

アイススケートって、ああいうの……ないの?

リンクはいつも平面。
ジャンプはz軸1本勝負。
スノボみたいにパイプで跳んだり滑ったりするスケーターは見たことがありません。

「氷のハーフパイプ」、なぜ存在しないの?
今回のコトトコは、そんな問いを滑りながらたどってみましょう!


1. そもそもハーフパイプってどんな競技?

ハーフパイプとは:

  • 半円形の“U字”状の傾斜を滑って上下に移動
  • 壁を蹴り上げ、空中で回転や技を決める
  • 滑るためには反発力(反力)とエッジの操作が必要

スノーボードやスケートボードでは、壁を利用した“押し返し”の力=ジャンプの原動力になります。


2. アイススケートでは、それができない?

結論から言うと──

氷上では「壁を蹴って跳ぶ」ことができない。

なぜかというと:

✅ 氷は「蹴る力が伝わらない」

  • ブレードで滑っている=地面との接地面が極端に小さい
  • 傾斜面では、滑りやすさが増して力を伝えづらくなる
  • → 蹴っても“跳ね返り”が得られない

✅ 氷の反発力がない

  • スケボーやスノボの板はしなる=跳ね返してくれる
  • でも氷は硬い・冷たい・反発力ゼロ
  • → 自分の足で“反動をつけて”跳ぶしかない

つまり、「壁を使って跳ぶ」が成立しにくいんです。


3. スケート靴の構造も影響している?

はい、大きく影響してます!

  • スケート靴の刃(ブレード)は、“氷に刺す”ことを前提に設計
  • 壁のような“垂直面”に力を加える構造にはなっていない
  • 蹴り上げではなく“踏み切り”でジャンプしている

スノボやスケボーは、ボードを壁に沿って滑らせることができるのが強み。
でもスケートでは、刃が壁に沿って滑らないし、止まらない


4. 実は一応“氷のパイプ”はあった?

実は過去に「アイスパイプ」を再現しようとした試みはあります。

  • 海外イベントでアイスハーフパイプショーが開催された例も
  • ただし、使われたのはスケート靴ではなく“そり”や特別な装備”
  • → あくまでショー用、競技化はされていない

また、スノーボードで「アイスバーンのハーフパイプ」は存在しますが、
それは「雪が固い」だけで、氷上でブレードで滑るものではありません。


5. 技術的には「難しすぎる」競技だった?

つまり:

問題点内容
素材の性質氷は反発しない・滑りすぎる
道具の構造スケート靴は壁を蹴る構造ではない
安全性傾斜面で止まれない・怪我のリスクが高い
視覚効果・演技の難しさ技が映えづらく、競技として成立しにくい

→ つまり、「やれたら面白そう」だけど、やるには制約が多すぎた


6. まとめ:「氷のパイプがない」ことにも理由がある

  • アイススケートでは「蹴って跳ぶ」より「踏み切って跳ぶ」が基本
  • 氷は硬く滑りやすく、ジャンプの反発が得られない
  • ハーフパイプ的な動きは、氷と刃の構造には不向き
  • 一応過去に試みはあったけれど、定着することはなかった
  • 結果として、アイススケートの技は平面リンクでの“高さと回転”に特化して進化してきた

誰もが一度は想像する、「氷の上でスノボみたいにジャンプできたらいいのに」。
でも、そこに“ない”のは、ただの偶然じゃない。
素材、道具、安全性、そして歴史。
スポーツは、「何ができるか」よりも、「何がしやすいか」で姿を変えてきたんです。

そう考えると、今見ている競技の“当たり前”にも、
見えない選択の積み重ねがあるのかもしれません。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!
また次のコトトコで、お会いしましょう🛼✨

ABOUT ME
Sol@
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彩の国育ち。問いを愛するレザークラフター。
「答え」より「問い」が好きなタイプです。
日常に転がる“なんでだろう?”を集めたブログ「コトトコ」を運営中。
誰かの世界が、ひとつでも広がる問いになりますように。
本が好きで、レザーをいじりながらよく考えごとをしています。
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