桜の実って、見たことないかも?……サクランボかな??サクランボだよね???

こんにちは。Sol@です。
春になると日本中が淡いピンク色に染まります。
桜のトンネル、桜吹雪、花見の宴。
「春といえば桜」と言っても過言ではないほど、桜は日本の春に根付いています。
でも、ふとこんなことを思いました。
「……桜の“実”って、見たことないかも?」
梅には梅の実が、桃には桃の実が、あります。
じゃあ桜の木にも、実がなっているはずじゃないの?だって、花って実を付けるために咲くものですよね?
というわけで今回は、「桜の実って見たことないのはなぜ?」という素朴な問いを、コトトコしてみましょう!
1. 桜の木には、実がなるの?
答えは「Yes」。
桜の木も植物ですから、当然ながら花が咲いたあとに受粉すれば“実”をつけます。
桜の実は、小さくて黒っぽい果実で、「サクランボ」に似ています。というのも、サクランボの正体は「セイヨウミザクラ」という品種の桜の実だからです。
つまり、桜の実は本来、ふつうに存在するんです。
じゃあ、なぜ私たちはそれを見かけないのでしょうか?
2. ソメイヨシノは、クローンである
実は、日本に咲いている桜のほとんどが「ソメイヨシノ」という品種です。そのソメイヨシノには聞くも涙、語るも涙の驚くべき事実があります。
このソメイヨシノ、じつは自然に生まれたものではありません。
江戸時代末期(19世紀ごろ)に、人の手によって「オオシマザクラ」と「エドヒガン」を交配して生まれた人工の園芸品種なんです。
そしてその驚くべき事実がこちら。
ソメイヨシノは、たった一本の原木をルーツとした“クローン”である。
今、日本中に咲いているソメイヨシノは、すべて挿し木や接ぎ木によって増やされた、いわば「コピー」たちなんです。
「クローンである」って、動物と植物ではどう違うんだろう?
じゃあその前の「桜」って何だろう??
3. どうして“クローン”だと実ができにくいの?
植物が実をつけるためには「受粉」が必要です。
風や虫によって花粉が運ばれ、めしべとおしべが異なる個体で受粉が成立すると、やがて果実になります。
ところが、ソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持ったクローンです。
つまり、近くにある桜も同じ個体。自分の花粉では受粉できない“自家不和合性”という性質を持つため、受粉が成立しにくいのです。
だから、花は咲いても実がならない。
「桜の実って見かけないなぁ」という私たちの実感は、ここに由来するわけです。
クローンだと寿命はどうなるのかな??
他に“自家不和合性”を持つ植物って、どんなものがある?
4. 実をつける桜もある?
もちろん、桜全体として見れば実をつける品種もあります。
例えば:
- ヤマザクラ:野生種で、花と葉が同時に開く。実もなる。
- セイヨウミザクラ:果実を食用とするサクランボの木。
- シダレザクラなど:園芸品種の中でも、ごくまれに実をつけるものも。
つまり、「桜=実がならない」というのは、ソメイヨシノに限った話なんですね。
5. なぜ日本はソメイヨシノばかりなの?
これにはいくつか理由があります。
- 花付きがよく、満開時は壮観。
- 成長が早く、植樹に向いている。
- クローンなので見た目にムラがなく、街路樹などに最適。
- 一斉に咲いて、一斉に散る「儚さ」が、日本人の美意識とマッチした。
こうして、全国にソメイヨシノが植えられるようになり、結果的に“実のならない桜”が大多数になったのです。
6. まとめ
- 桜も実をつける植物。でも、身近なソメイヨシノはほとんど実をつけない。
- ソメイヨシノは江戸時代に交配され、一本の原木をルーツとするクローン。
- クローンは遺伝的に同一であるため、自家受粉ができず、実がならない。
- 実がなる桜もあるけれど、街中ではあまり見かけない。
- 「桜の実が見られない」のは、日本が“ソメイヨシノ文化”に包まれているから。
桜の木に実がならない理由には、こんなにも奥深い背景がありました。
今度お花見をするとき、ちょっと足元や枝先を見てみてください。
そこには、咲くはずだった果実の代わりに、私たちが見落としていた“問い”が、こっそり実っているかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました🌸